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ゴムの種類について

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ゴム製品を作るうえでまず最初に考えるのがゴムの種類です。
ゴムの種類と特徴について詳しくご紹介します。

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新しく作れる

ゴムの種類と特徴

ゴム製品はポリマーと呼ばれる素のゴムに様々な薬品を添加して製作します。
ポリマーの種類は製品の性能に最も大きな影響を与えるため、適切なポリマーを選ぶことがニーズに合った製品を作るうえで最も大切です。
新しいゴム製品を作ろる際のヒントとして、ポリマーの特徴を詳しくご紹介します。

天然ゴム(NR)

概要

天然ゴムは、東南アジアやブラジルのアマゾン流域などで栽培されているへベア樹から採取したもので、現在はほとんどが東南アジアで製造される。

製造方法

先ず、樹皮に切付けを行って、流出したゴムを含有している樹液(ラテックス)を、アルミ製のカップにため、これを集めて、生ゴムに精製される。

精製工場ではまず、樹液(ラテックス)を原液のままろ過し、次に水を加えて希釈して粘度を下げ、ごみを取り除く。希釈した樹液(ラテックス)を60~80メッシュのステンレス製のふるいでろ過して、タンクに入れ、10分~20分静置して希釈した樹液(ラテックス)の均一化をはかる。
希釈した樹液(ラテックス)に凝固剤を加えて凝固させ、凝固したゴムは白色の豆腐状のふわふわたかたまりで、70~80%の水を含んでいるので、ロール機に通して圧延し、水を絞りシートにする。シートをタンクの中でよく洗浄し、風通しのよい所で水切りされ、カビ防止に燻製する。燻製されたシートは一枚一枚検査する。これがスモークドシート(RSS)といい、外観や、感触・不純物の含有率によって格付けされる。

構造と特徴

天然ゴム(NR)はイソプレンの重合体で、そのほとんどがシス-1.4結合で構成されているので分子構造の規則性が高く結晶性があり、かつ高分子成分か多いため引張強さ、耐摩耗性、引裂強さなどの機械的強度が優れている。しかし、主鎖に二重結合があるため、耐熱性・耐候性が劣り、軟化劣化する。

用途

天然ゴム(NR)の機械的強度、耐摩耗性を活かして、タイヤ、ゴムベルト、履物、粘接着剤、輪ゴム等に利用されている。

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イソプレンゴム(IR)

概要

特性は天然ゴムに似ており、合成天然ゴムともいわれている。天然ゴム(NR)と比較して機械的強度がやや劣るが、品質・価格が安定している。

構造と特徴

イソプレンゴム(IR)は天然ゴム(NR)と同じポリイソプレン構造を持つ合成ゴムである。シス-1.4結合の割合が、天然ゴム(NR)が100%なのに対しイソプレンゴム(IR)は98%以下であるため、天然ゴム(NR)より少し立体規則性が劣り、結晶化が小さく、延伸結晶性も劣る。

用途

天然ゴム(NR)と同様にタイヤ、履物、ベルト等に利用されている。

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ブタジエンゴム(BR)

概要

ブタジエンゴム(BR)のシス-1.4構造の割合がシス含有量が90%以上のものを高シス-BRと呼び、約35%位のものを低シス-BRと呼んでいる。弾力性に富み、低発熱性で耐摩耗性、耐寒性に優れ、他のゴムが弾力性を失う低温においても良好な弾力性を示す。広い温度範囲で優れた弾力性がある。

構造と特徴

ブタジエンゴム(BR)は天然ゴム(NR)とスチレン・ブタジエンゴム(SBR)に比べて、耐寒性、耐摩耗性などに優れており、反発弾性に富み、動的発熱も小さい。特に耐摩耗性は摩耗条件が厳しくなるほど、他のゴムと比較して良好となる。低シス-BRは低温特性がかなり優れていて、特に長時間低温試験を行うと良好な結果になる。この特性を活かして、雪上、氷上用のタイヤとして使用される。

ブタジエンゴム(BR)単独で使用されるより、天然ゴム(NR)やスチレン・ブタジエンゴム(SBR)と ブレンドして使用されることが多い。

用途

高シス-BR、低シス-BRともに、自動車用タイヤ、履物、ベルト等に利用されている。

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スチレン・ブタジエンゴム(SBR)

概要

天然ゴム(NR)とほぼ同様の性質を有する合成ゴムで一般用として使用されるゴムである。ブタジエンとスチレンの共重合体で、結合スチレン量50%以下。市販されている大部分は、結合スチレン量は23.5%以下である。

製造方法

乳化剤として通常脂肪酸石鹸、ロジン酸石鹸を用いスチレンとブタジエンを乳化して共重合させる乳化重合法によるエマルションSBR(E-SBR)と、炭化水素溶液中で共重合される溶液重合法によるソリューションSBR(S-SBR)に分けられる。

乳化重合の重合液度が50℃で重合されたSBRをホットラバー、5℃で重合された場合のものをコールドラバー。油展ゴムは原料に伸展油を加えて製造したものである。

構造と特徴

スチレン・ブタジエンゴム(SBR)は天然ゴム(NR)よりも耐候性、耐熱性がやや優れ、品質が均一で価格の変動が少ない。E-SBRはブタジエン部のミクロ構造は、ほぼ一定で分子量は広い。S-SBRは、ミクロ構造や分子量、分子量分布などのポリマー構造を容易に制御できるため、弾力性、耐寒性、耐摩耗性、低ヒステリシスロスなど、求める性能をバランス良く持つゴムを作ることが出来る

用途

自動車用を主とし、防振ゴム、ホース、ベルト、履物等、一般工業用材料として利用される。

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クロロプレンゴム(CR)

概要

クロロプレンゴム(CR)は1930年に開発された最も古い合成ゴムの一つである。クロロプレンゴム(CR)は2-クロロブタジエン(クロロプレン)を重合させて製造されるもので、アメリカのデュポン社の商品名でネオブレンが有名。

構造と特徴

クロロプレンゴム(CR)は耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、耐薬品性、耐油性に優れ、難燃性である。結晶性があるので、かなりの力学的強度を示し、凝集力も大きいのでゴムのりにした場合の接着力が大きい。他の特殊ゴムに劣る場合もあるが、大きな弱点を持たないクロロプレンゴム(CR)は非常にバランスの取れたゴムといえる。

用途

電線、接着剤、建築用、工業用等に利用されている。

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ブチルゴム(IIR)

概要

ブチルゴム(IIR)はイソブチレンに少量のイソプレンゴム(IR)を共重合させた科学的に安定なゴムである。気体透過性が極めて低く、空気保持力が天然ゴム(NR)の約10倍ある。

構造と特徴

気体透過性が極めて低く、空気保持力が天然ゴム(NR)の約10倍あり、チューブなどに使用されている。電気絶縁性、耐トラッキング性にも優れている。また、反発弾性が小さく衝撃吸収性にも優れる。耐候性、耐熱性、耐オゾン性にも優れ、高温特性が良く、極性溶媒にも強い。欠点は耐油性がないことと、他のジエン系ゴムとの相溶性に乏しいこと、接着性に劣ること。

用途

気体を通し難いという性質からタイヤのチューブに利用されてきた。昨今では電線被膜等の電気用途、工業用途、ゴム引布などに利用されている

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アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)

概要

アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)はアクリロニトリル(AN)とブタジエンゴム(BR)を共重合させたもので、一般にニトリルゴムと呼ばれている。アメリカのブドリッヂ社の商品名であるハイカーが有名である。

構造と特徴

アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)のアクリロニトリル量(ニトリル量)は、約15%~50%の範囲内であるが統一された規約はない。

  • ニトリル量が43%以上を極高ニトリル(耐油:良好 耐寒、耐候:劣る)
  • ニトリル量が36~42%を高ニトリル
  • ニトリル量が31~35%を中高ニトリル
  • ニトリル量が25~30%を中ニトリル
  • ニトリル量が24%以下を低ニトリル(耐油:劣る 耐寒、耐候:良好)

ニトリル量が多くなると耐油性は勿論、耐摩耗性、耐老化性が良好。耐寒性は劣り、反発弾性が悪くなる。

用途

パッキン、ゴムロール、ホース、ガスケット、工業用品などに、耐油性を必要とされる箇所に広く利用されている。

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エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)

概要

EPMはエチレンとプロピレンの共重合体で硫黄で架橋できず、用途が限られている。EPDMは硫黄との反応点として、少量の第三成分をエチレンとプロピレンと共に共重合させてある。

構造と特徴

耐オゾン性、耐候性は他のゴムに比べると著しく優れていて、クロロプレンゴム(CR)やブチルゴム(IIR)よりエチレンプロピレンゴムは優れている。耐熱性、耐薬品性、電気特性にも優れており、比重が小さいこと、補強剤の高充填が可能なこと等の利点がある。欠点としては、耐油性がない、他の材料との接着性に劣ること等が挙げられる。

用途

優れた耐候性から、自動車用ウェザーストリップなどの自動車用、建材用、電線被膜等、屋外で使用される箇所を中心に広く利用されている。

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アクリルゴム(ACM)

概要

アクリルゴム(ACM)の主原料としては、アクリル酸アルキルエステルを主成分として他の架橋モノマーと共重合したものである。

構造と特徴

アクリルゴム(ACM)は耐熱性、耐候性、耐オゾン性、側鎖エステル結合の極性により、耐油性に優れている。特に耐熱性は素晴らしく、クロロプレンゴム(CR)やアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の長時間使用可能温度が80~100℃なのに対し、アクリルゴム(ACM)は150~180℃にも耐える。 欠点としては、加工性に難があり、引張強度が弱い。耐寒性が不十分。

用途

耐熱性、長寿命性などが要求される自動車用を中心に各種シール材、ガスケット、パッキンなどに利用されている。

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フッ素ゴム(FKM)

概要

高温に耐え、耐油性もあり、かつ弾力性を失わない原料として開発されたゴムがフッ素ゴム(FKM)である。 アメリカのデュポン社の商品名のバイトンが知られている。フッ素ゴム(FKM)はフッ素を分子内に含むゴムの総称であり、モノマーの構造により様々なタイプがある。

構造と特徴

一般的な特徴として、他のゴム材料では達成できない優れた耐熱性、耐油性、耐薬品性を有するが、耐寒性は充分ではない。値段は高価である。最も良く使用されているフッ化ビニリデン系フッ素ゴムを例えると、空気中での連続使用温度が230℃、耐油性は他のいずれのゴムよりも良く、耐薬品性においても高濃度のアルカリ、アミン、極性溶剤を除いて、かなりの抵抗性を持っている。ただし、耐寒性は-20℃程度が限界である。

用途

自動車産業、航空機産業、科学産業、機械関連産業などで、欠くことのできない材料として利用されている。

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クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)

概要

ポリエチレンの優れた耐候性を保持しながら、弾力性体をという事で研究されたのがこのクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)で、デュポン社のハイパロンが有名である。

構造の特徴

エチレンプロピレンゴム(EPM)がポリエチレンの結晶性を、プロピレンを共重合させることにより乱すことでゴム状弾性を示すのに対し、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)は塩素基を導入することでゴム弾性を発現させ、かつ耐油性も付与させている。クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)は主鎖に二重結合がなく、塩素基を含むため、耐候性、耐オゾン性、耐化学薬品性に優れ、難燃性はクロロプレンゴム(CR)と同等である。力学特性は、もともとポリエチレンが骨格になっているため、非常に良く、耐摩耗性にも優れる。また、色安定性が非常に良く、白物、色物の高強度ゴム製品な向いている。

用途

自動車用燃料系ホース、ケーブル、防水シート、床タイル、ゴム引き布、エスカレータの手摺などに利用されている。

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エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO、GCO、GECO)

概要

エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO、GCO、GECO)はエピクロロヒドリンを中心とした環状エーテルの開環重合体で主鎖にエーテル結合、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルゴムである。

構造と特徴

一般的な特徴はその優れた耐油性と耐熱性、耐オゾン性にある。耐油性は高ニトリルのアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)に匹敵し、耐熱、耐候性は主鎖に二重結合を持たないためジエン系ゴムより優れ、耐熱性はアクリルゴム(ACM)にやや劣る程度、耐オゾン性はアクリルゴム(ACM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)に匹敵する。オキシエチレン鎖に由来する半導電的性質を示し電気抵抗が低い。種類により、低ガス透過性、低温特性、高反発弾性、低圧縮永久ひずみ率などの特徴を持つものがある。

用途

自動車用が多く、燃料ホース、制御系ホース等。ダイヤフラム、電気特性を制御したプリンター用ゴムローラーにも使用されている。

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シリコーンゴム(VMQ、PVMQ、FVMQ)

概要

ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合したシロキサン結合を主体としたポリマーを一般にケイ素樹脂、又は、シリコーンという。シリコンとは別物。

構造と特徴

シリコーンゴム(VMQ、PVMQ、FVMQ)は従来のゴムが-C-C-結合を主鎖に持つのに対して、 主鎖が-Si-O-というシロキサン結合で構成されている。このシロキサン結合は、-C-C-結合に比べて結合エネルギーが大きい、イオン結合性を有する、分子間距離が大きい等の特徴がある。この結果、シリコーンゴムの耐熱性、耐寒性、耐オゾン性に極めて優れ、電気特性、耐油性も良好である。しかし機械的強度が弱い、低分子量成分の揮発による電子機器の接点不良を起こしやすいという欠点もある。また、気体透過性は高い。

用途

電気、電子工業、事務機器、医療、食品などの分野でコーティング剤、Oリング、オイルシール、ゴムロール、接着剤など、幅広く利用されている。

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ウレタンゴム(U)

概要

ウレタンゴム(U)は厳密にいうとポリウレタンゴムであるが、重合体(ポリマー)を意味するポリを省略して単にウレタンゴム(U)といい、ウレタン樹脂の一種である。

構造と特徴

ウレタンゴム(U)はウレタン結合(-NHCOO-)を分子構造中に持つゴム状弾性体の総称である。ウレタンゴム(U)は3種類の原料の重付加反応によって得られるが、その均一な架橋間距離により未充填ゴムの強度が極めて大きく、引裂き強さ耐摩耗性も他のゴムよりも優れている。また、原料の組み合わせの選択次第で軟質から硬質まで幅広いゴム製品が得られる。

ソフトセグメントの種類によりエステル系(AU)とエーテル系(EU)とに分けられ、一般にAUは耐油性は良いが耐水性は悪い、EUは耐寒性はあるが耐油性は劣る。一般にウレタンゴム(U)はその架橋構造により、耐熱性、耐水性、耐湿性は低い。

成形方法は大きく3種類あり、原料として液状のプレポリマーを用いる注入成形タイプ、一般のゴムと同様のミラブルタイプ、熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性タイプである。

用途

成形方法が様々だが、注入成形タイプはロール類、ソリッドタイヤ、ベルト類、金型中でウレタン化反応させるタイプ(RIM成形)は自動車用バンパー等。ミラブルタイプはあまり使用料が多くない。熱可塑性タイプは射出成形で自動車部品、機械工業部品、靴底など、押出成形でホース、フィルム、ベルトなど。

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熱可塑性エラストマー(TPE)

概要

熱可塑性エラストマー(TPE)とは、常温では架橋ゴムの性質を示すが、高温では可塑化されてプラスチックの加工機で成形できる高分子材料の総称である。

構造と特徴

熱可塑性エラストマー(TPE)は、一般にゴム弾力性を示す柔軟性成分(ソフトセグメント)と架橋ゴムの架橋点の役目を果たす高分子拘束成分(ハードセグメント)からなる。常温ではハードセグメントが架橋点の役目をするためゴム状の弾力性を示すが、高温になるとハードセグメントが融解し架橋点の働きができなくなるため成形が可能となる。

熱可塑性エラストマー(TPE)は、架橋ゴムと比較すると次のような特徴がある。

  1. 通常の熱可塑性プラスチックの成形機で加工でき、架橋反応が不要。
  2. 射出成形サイクルが短く、押出成形速度も速い。
  3. 補強剤なしで高強度を発現する。
  4. 製品スクラップのリサイクル使用が可能。
  5. 温度上昇による物性低下が大きく、高温においては塑性変形を起こす。
  6. ゴムらしさが不足し、永久ひずみが大きい。

用途

熱可塑性エラストマー(TPE)には、スチレン系、オレフィン系、ジエン系、塩化ビニール系、ウレタン系などが様々な種類があり、あらゆる分野で利用されている。今後さらに発展していくと予想される。

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